チンパンジーは、大型類人猿の一種である。4亜種にわけられる。ボノボとは同属にあたる。特定動物。かつてクロショウジョウの和名があったが、現在では見ることがない。
疎開林や山地林から熱帯雨林といった様々な環境に生息する。
主要な採食レパートリーは植物であり、葉・種子・樹皮・堅果・根等も食べるが、果実を強く好む。一部の生息地域では同じく植物に強く依存するゴリラと共存しているが、採食の違いによって棲み分けが成されているとする研究者もいる。
一方、肉食することも知られ、コロブス等のサル類や、ブッシュバック、ブルーダイカーといった小型レイヨウ類を集団で狩猟するほか、死肉食も行う。チンパンジーは食物分配を行なうことが知られているが、肉食の際には特に頻繁にみられる。分配者は優位なオスであることが多い。
20-100頭程度の複雄複雌からなる社会的集団を形成して生活している。しかし普段は果実食に適応した4-5頭の小集団を、主に母子関係やオス間の同盟を元に構成して遊動する。
チンパンジーは、メスは一般的に出産可能な年齢になると、生まれ育った集団を離れ、他の集団に移りそこで子供を産む一方、オスは出自群に留まり、大人のオス同士の強固な連帯を形成しすることで集団を維持する複雄複雌の父系集団である。しかし特定のオスメス関係にもとづいた繁殖をしないので、ヒトの社会における父親に相当するものはないと考えられている。したがって、メスが出自群をでることによって近親交配の回避をしていると考えられている。しかしながら、第一子を出自群で生むことも観察されたり、子供を連れて群に移入したなどの例外も知られている。
また、個体間には順位差があり、オスは特にその順位を巡った争いがあることが知られ、野生下・飼育下共にオス間での合従連衡が見られる。しかし第一位であるアルファメイルに繁殖上のメリットが不明瞭であると、しばしば指摘される。
チンパンジーは類人猿の中でも、特に頻繁に道具を使用する。シロアリ塚を壊し、そこに「釣り棒」を差込み、それに噛み付いてきたシロアリを釣り上げ捕食したり、石器を使ってアブラヤシなどの木の実を割って中身を食べたり、木の実を割る石を代々伝承したりといった例が観察されている。この例は昭和後期以降、中学校の国語の教科書に載っている。
チンパンジーの特筆すべき習性として「子殺し」がある。オス達が他の集団の赤ん坊を襲う、オスが同じ集団の赤ん坊を殺す、さらに、メスが同じ集団の赤ん坊を殺す、など様々なパターンが観察されているが、いずれの場合でも共通するのは、殺した赤ん坊を食べてしまうことである。子殺しによって、他のオスの血統を減らし、自らの遺伝子をより多く残す繁殖戦略であるという説もあるが、ライオンなどの子殺しと違ってどの子が自分の血を引いていないか明確でなく、この習性がチンパンジーの社会でどのような役割を果しているのかは良く分かっていない。
さらに、野生のチンパンジーは「子殺し」よりも多く、他のコミュニティーの大人オスを殺すことが報告されている。集団から離れて一匹でいるところを数匹で狙う。コミュニティー内のオス、メスの比が出生時は1:1であるのに対し成人では1:2であるのはこのような理由からと考えられる。同属別種のボノボのオス、メス比が1:1であるのと比べると特筆されるべきことである。この違いは、社会性、特にメスの役割の違いと考えられている。
なおOCNニュースによると、2006年4月にアフリカのオスチンパンジーが素手で人間を殺害、両手両足の爪を剥がした上に顔面を食べて逃走したという事件が起きている。
「かけおち」
チンパンジーは乱婚で優位のオスに交尾の機会が多いが、野生では下位のチンパンジーが「かけおち」することが観察されている。草陰に隠れていた気の弱いオスのところに、いつのまにか一匹の発情中のメスが寄り添っている。そして、一日、長い時は一週間以上も群れの中心から離れて遊動範囲の周縁へと「かけおち」する。時には、オスに手荒に叩かれたりしながらしぶしぶ「かけおち」するペアもいる。ニホンザルのDNA解析から、ボスよりも下位のオスの子孫の方が多かったという研究結果があることから、チンパンジーも同じようなことが予想されるが、まだ報告はされていない。
(ウィキぺディアから参照しています)